研究課題/領域番号 |
09650181
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
上野 久儀 金沢大学, 工学部, 教授 (80019752)
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研究分担者 |
木綿 隆弘 金沢大学, 工学部, 助教授 (40225107)
木村 繁男 金沢大学, 工学部, 教授 (70272953)
岡島 厚 金沢大学, 工学部, 教授 (80013689)
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キーワード | 植物生理 / 水輸送 / 流量計測法 / 土壌 / 環境応答 / 過渡応答 / 吸水量 / 蒸散量 |
研究概要 |
根部が水中にある場合の植物は、根の呼吸作用の阻害により弱りやしおれが発生しやすいため、植物環境変化に対するデータの比較や長時間測定を困難にした。そこで、根が土壌中に存在する一般の場合について、蒸散・吸水量の同時測定法を開発した。すなわち、土壌中では昨年度提案した吸水量瞬間測定ができないため、植物を土壌ごとポットに入れ水槽に浮かしたポットの重量変化から、植物生体重(=吸水量-蒸散量)が計測可能である。供試植物としては、蒸散量が大きく自栽培により簡単に得られる。きゅうり(うり科)を採用した。 以上を用いて、照度変化に対する水中および土壌中での蒸散・吸水量の過渡応答、定常応答を調べた。さらに、自然光に近い高照度における蒸散・吸水量特性についても検討した。得られた主な結果は以下のとおりである。(1)根が土壌にある植物の蒸散・吸水量の簡単な同時瞬間計測法を提案した。ただし、吸水量の過渡応答測定には難点がある。(2)植物根部が水中にある場合と比較することにより、土壌中では生命活動が活発なため、吸水量は蒸散量よりかなり大きく、蒸散・吸水流量の脈動が発生しやすい。また、従来、計測が不十分であった吸水流量の周期1時間の脈動を確認した。蒸散流量の脈動周期は基本的には1日であった。(3)根部が土壌にある場合も水中にあると場合と同様、照度のステップ的上昇に伴い、蒸散量のオーバーシュートが生じることを確認した。(4)低照度から高照度の繰り返し実験において、低照度時間が短いとき高照度での蒸散量は減少することを示した。根部が水中にある場合、減少はみられない。上記(4)の原因は、高照度における蒸散流量増加率の飽和・低下に対応する。
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