研究概要 |
平成9年度の研究は大筋年度当初の研究実施計画に基づき遂行された.以下に研究の進展状況をまとめる. 目的(A)均一平均流速を有する3次元乱流中の物体周りのプルーム拡散場の計算 まず,研究の第一段階として物体の無い場合の乱流中のプルーム拡散場を取り上げた。計算はランダムフーリエモード法と確率過程モデルの両方で行われた。主な成果は以下の通りである。 (1)従来のランダムフーリエモード法を流れ方向に乱れ速度rms値と長さスケールが変化する実際の格子乱流場に適用できるように改良した。次に、この改良型ランダムフーリエモード法により連続点源と連続線源によるプルーム拡散場の計算を行った。その結果、連続点源におけるスカラー量の平均値、rms値はともに実験結果と良い一致した。連続線源については、拡散源近傍でずれが見られたが、全体としてはほぼ実験結果と一致した。 (2)ラグランジュ的な2粒子速度相関を考慮した2粒子対確率過程モデルを構成し、格子乱流中の連続点源、連続線源拡散場の数値計算を行った。その結果、いずれの場合も実験結果と良く一致した。 物体周りの乱流場については、従来のランダムフーリエモードモデルによる円柱周りのスペクトルの変化が調べられた。今後は、剥離を伴う円柱周りの乱流場に対してランダムフーリエモード法による計算法の開発を行う。 目的(B)急激変形理論を用いた複雑乱流場の運動学的計算法の確立とその拡散場シミュレーションへの応用 本年度は一様せん断流、軸対称絞り・拡がり流れについて急激変形理論解の検討を行った。その結果、軸対称絞り・拡がりについては時間的に安定した理論解があるが、一様せん断流の解は時間的に不安定であることがわかった。今後これらの複雑乱流場に対する計算プログラムを開発する予定である。 なお、当初の計画以外に、確率過程モデルの応用として、円管乱流中の物質拡散場の計算も行われた。
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