噴流の攪乱(乱れ)成分を増加させ、噴流自身あるいは噴流と周囲流体との混合・拡散を促進させることは、例えば、衝突噴流の伝熱特性の改善、異種あるいは温度の異なる流体の効率的な混合、燃焼バーナーにおける燃焼効率の改善、化学反応の促進、温排水の効率的な拡散、などを実現する上で非常に重要である.また、水面に衝突する水噴流(プランジングジェット)による水中への気泡の巻き込みについても、水噴流表面の攪乱が大きく影響する. 本研究では、噴流の攪乱成分を増加させる手法として共鳴噴流、環状噴流の同軸円形噴流による制御、および攪乱増幅素子を用いた円形乱流噴流(攪乱増幅噴流)について、その流動特性を熱線流速計による平均および乱流速度成分の測定などから明らかにした.また、プランジングジェットについて水噴流表面の攪乱と巻き込み空気量との関係を明らかにした. それらの主な結果は、以下のようである. 1. 共鳴噴流について: (1) オリフィスから噴出噴流に比べ、乱れ強さ、噴流の広がりおよび中心線流速の減衰が大きい. (2) 共鳴室の容積および噴流速度の増加とともに共鳴卓越周波数は増加する. (3) 共鳴室の容積を変化させることにより、卓越周波数、速度・乱れ分布、噴流の広がり、などの流動特性を制御できる. 2. プランジングジェットについて(攪乱増幅素子使用): (1) 水面に衝突する水噴流の流動様式(気泡噴流)は、大きく3つに分類される. (2) 水噴流の表面形状が大きく乱れるパイプノズルの場合、巻き込み空気量が増大しエアレーションが効果的に行われる. (3) 攪乱素子の使用により、水噴流の表面形状がさらに大きく乱され、前記(2)の場合よりさらに巻き込み空気量が増大し、エアレーションが効果的に行われる. 3. 環状噴流の同軸円形噴流による制御について: (1) 円形ノズルから噴出される噴流に比べ、ノズル出口近傍での乱れ強さがかなり増幅される. (2) 環状噴流の流動特性(速度、乱れ特性)が、同軸円形噴流の使用により効果的に制御できる. などの結論を得た. 上記のように、噴流の攪乱(乱れ)は噴流の流動特性(噴流の広がり、中心線流速の減衰、など)に大きく影響すること、またそれを比較的簡単な手法により増幅させ制御できることが知れ、その特性の詳細が明らかにされた.
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