研究概要 |
1.粒子運動に対するLESの空間解像度の影響 比較的慣性の小さな固体粒子を含む固気二相乱流をLESで計算する場合,単相乱流に対して決まる格子解像度の他に,固体粒子の運動を正確に予測するための格子解像度の基準が必要となる.ここでは,鉛直チャネル内を下向きに流れる固気二相流についてLESによる数値シミュレーションを行い,粒子の乱流拡散に対するLESの空間解像度の影響を調べた.まず,空間解像度が十分大きな条件を用いて粒子運動を調べ,さらに,その乱流場にいくつかの解像度の異なるフィルターをかけて粒子運動の変化を調べた.その結果,粒子運動に変化が表れる最小の格子スケールは粒子ストークス数とともに増加し,とくに粒子ストークス数が1000を越えると,最小の格子スケールは粒子ストークス数の増大により急激に増加することがわかった.さらに,粒子運動に対する乱流渦の作用時間に基づく考察を行い,粒子運動に影響を及ぼす最小の渦スケールと粒子ストークス数の関係を表すモデルを提案した.このモデルにより計算結果の傾向を表現できることを確認した. 2.2次元粒子クラスター構造の解析 2次元流動層中で形成される2次元の粒子クラスターについて実験と計算を行い,計算結果について検討を行った.その結果,従来の粒子クラスター計算モデルで予測されるクラスターの大きさは,測定結果に比べて非常に大きなものとなることがわかった.その原因として前後の壁面の影響を考え,前後壁面の影響を数値解析に導入した.その結果,クラスター構造および空間スケールともに実験結果に近い予測値が得られた.
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