研究概要 |
1.本研究の目的は、主流中で生成された縦渦対を乱流境界層と干渉させた場合について、干渉過程の乱流構造を明らかにすることである。 2.そのため、デルタ翼を用いて一対の縦渦を生成させるが、縦渦間で吹下ろしと吹上げとになる場合の2種類を作成する。本年度は吹下ろしの場合について、Γ/U_1δ<1の条件(Γ:縦渦の循環,U_1:主流速度,δ:境界層厚さ)の下で実験を行った。 3.当初計画した一対のハーフデルタ翼による縦渦対の製作はできず(2対の縦渦となる)、デルタ翼(翼弦長50mm,スパン長30mm)により作成した。なお、迎角は8°に固定している。 4.一対の縦渦が乱流境界層と干渉を開始した位置では、縦渦の寸法(直径d_0)と境界層厚さδ_0との比はd_0/δ_0【approximately equal】1となる条件に設定している。 5.測定は、干渉開始位置からの流れ方向距離Δxが、Δx/d=0,10,30,70の4断面で行った。 6.まず、縦渦対による干渉効果を明確にするため、平均速度,乱流成分,レイノルズ応力,平均渦度について断面内等値線図を描いた。 7.デルタ翼端(下流端での)からおよそ30%内側のスパン方向位置に中心を置く一対の縦渦が生成され、測定最下流位置まで持続する。その経路は下降しながら、中心間距離を広げていく。 8.一対の縦渦列により、境界層は翼中心位置で吹下ろし、翼端付近で吹上げの二次流れの生成が見られ、それにともない境界層厚さはスパン方向に著しく変化する。 9.二次流れの中心付近で、平均速度成分のUは周囲より減速するが、V及びW成分は最大となる。また乱れ成分もその位置でピークとなる。 10.レイノルズ応力-uv/U_1^2及び-uw/U_1^2成分は、二次流れの中心位置付近でそれぞれ正,負のピークをとる。一方、境界層内の内層において、二次流れの中心とは逆の符号をもつレイノルズ応力の等値線の領域が生じている。
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