研究概要 |
圧力比が4以上の高圧力比単段遠心圧縮機では,羽根車への相対流入速度あるいはディフューザへの流入速度が音速を超えるので,衝撃波の発生は避けられない.圧縮機にとって,衝撃波は圧力上昇という観点ではむしろ好ましいが,衝撃波が羽根車翼面やディフューザ翼面あるいは側壁面の境界層と干渉してはく離あるいは逆流すれば話は別である.本研究では,衝撃波が発生する円形翼列翼間側壁面に多数の高周波応答性圧力センサを装着し圧力分布の時間変化を詳細に計測して,衝撃波の空間構造およびその非定常性,ならびにディフューザ失速あるいはサージングとの関係を明らかにし,小弦節比円形翼列ディフューザ設計の基礎資料を提供する.また,サージングの周期変動圧力についての基礎資料を得る.さらに,ディフューザ壁面および羽根車入口部壁面での逆流状態を可視化観察して失速初生位置およびそのタイミングの確認を行う.得られた結果は以下の通りである. (1)パソコンをベースとするCCDカメラ画像直接取り込み可視化システムを構築した. (2)圧縮機羽根車やディフューザ近傍のみならず,プレナムタンク,吐出管など管路系の圧力変動も測定し,サージングシミュレーションのためのデータを採取した. (3)隣り合う二つのディフューザ翼列間に高周波数応答性圧力センサを設置し,同時圧力計測を行った.その結果,サージングにおける失速突入直前での低周波数圧力変動に同時性はないものの,失速突入はほぼ同時に生じる. (4)圧縮機がサージング状態における翼列部側壁面の流れ状態を観察した.その結果,圧力波形でみられるのと同じ周期での流れ角時間変化が確認された.また,逆流の発生も確認された. 今後は,圧力と可視化の同時計測システムの構築を目指し,圧力と流れの関係を明らかにする.
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