研究概要 |
低干渉光源SLD(スーパールミネッセントダイオード)を用いた2焦点ファイバ流速ベクトル測定法の研究を遂行する中,以下の成果を得た. 1. 散乱粒子信号の理論解析を行った.この理論から,流速は,干渉効果による散乱粒子信仰をフーリエ変換し,そのスペクトル分布の最大強度の1/eとなる半値幅△Sを求めることにより算出できる.また,このスペクトル幅△Sは散乱粒子のnumber densityに関係なく得られる. 2. イントラリピッド10$%による散乱光の光強度は参照光と比較して微量であるため,干渉効果によって強まる粒子信号を他の散乱粒子信号から隔離し易いが,その反面,背景ノイズの影響に埋もれ易くなる.従って,ノイズの原因となる信号スペクトルを干渉信号スペクトルから差し引くという新たな信号処理を加えることで,干渉効果による散乱粒子信号の抽出が可能となる. 3. 流路内の各位置で測定したスペクトル幅を流速に対応させることができる. 4. 理論とシミュレーションから,測定体積内を通過する粒子群の速度成分の違いと時間コヒーレンス関数が起因して,スペクトルが高周波数域にバイアスされることがわかった. 5. シミュレーションと実験結果から,層流分布における測定体積内の速度勾配の影響を定量的に解析した.このことから,実験パラメータを代入すると,測定したスペクトル幅に含まれる速度成分の影響を,速度分布の影響のない理想的なスペクトル幅と比較できる関係式を明らかにした.この式を用いると,本実験装置の測定推奨パラメータを得ることができる. 6. また,この関係を用いると層流分布における測定体積内の速度勾配の影響をなくした理想的なスペクトル幅を得ることが可能となり,一意に流速を校正することができる.
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