研究概要 |
(1) 散乱粒子信号の理論解析を行った.この理論から,流速は干渉効果による散乱粒子信号をフーリエ変換し,そのスペクトル分布の最大強度の1/eとなる半値幅△Sを求めることにより算出できること,また,このスペクトル幅△Sは散乱粒子のnumber densityに関係なく得られることが判った. (2) 光散乱粒子として模擬生体試料(イントラリピッド10%)を用いることにより,再現性のある結果が得られた. (3) ノイズの原因となる信号スペクトルを干渉信号スペクトルから差し引くという新たな信号処理を加えることで,干渉効果による散乱粒子信号の抽出が可能となる. (4) 干渉スペクトル形状,プローブ光の多重散乱により後方になるほどその形状がなだらかになる傾向があることは,イントラリピッドを用いても変わらない. (5) 流路壁面の存在の認識は,信号処理の結果から正確に求めることができる. (6) 壁面近傍の測定可能な空間分解能は約40μmである. (7) 流路内の各位置で測定したスペクトル幅を流速に対応させることができる. (8) 理論とシミュレーションから,測定体積内を通過する粒子群の速度成分の違いと時間コヒーレンス関数が起因して,スペクトルが高周波数域にバイアスされる. (9) シミュレーションと実験結果から,層流分布における測定体積内の速度勾配の影響を定量的に解析した.このことから,実験パラメータを代入すると,測定したスペクトル幅に含まれる速度成分の影響を,速度分布の影響のない理想的なスペクトル幅と比較できる関係式を明らかにした.この式を用いると,本実験装置の測定推奨パラメータを得ることができる.また.この関係を用いると層流分布における測定体積内の速度勾配の影響をなくした理想的なスペクトル幅を得ることが可能となり,一意に流速を校正することができる.
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