斜流ターボ羽根車の旋回失速特性の解明を行うため研究を行い、初年度である本年は以下の実績を得た。 1.高比速度斜流羽根車の設計、製作:準三次元設計法により、6枚羽根、比速度1620の羽根車の設計を行い、NC精密加工により一体削出し羽根車を製作した。 2.送風機の低流量減特性及び内部流れの測定:既設の送風機試験装置により送風機特性試験を行った。低流量域においては軸流式に類似した右上がりの不安定な圧力-流量特性を得た。熱線流速計により、右上がり域において動翼入口に旋回失速が生じていることを確認した。旋回失速発生時の流れは、非定常的に流れの方向が正負に変化するので、熱線流速計では速度ベクトルの測定は不可能である。そこで高応答圧力センサーを用いた6孔ピト-管を開発し失速セル内部の速度ベクトルの分布を測定することができた。 3.旋回失速特性:本送風機の旋回失速周波数は動翼の回転周波数の約70%である。これは通常の軸流形の場合とほぼ同様である。これは本送風機が斜流形ではあるが高比速度形であることによる。また、旋回失速時の失速セル内部の流れ測定より、セル部分では逆流を伴う変動する流れが存在するが、セル外部の円周部分では高流量域の場合と全く同じ様な流れ分布を示すことが明らかになった。この測定により、高比速度形斜流送風機の旋回失速発生時の内部流動が明らかにされた意義は大である。なお、来年度は外ケーシング面上圧力分布の測定を含む動翼内部の流れパターンを明らかにするとともに、既開発の環状翼式セパレータによる不安定特性の安定化のメカニズムを比定常内部流れの観点から解明する。
|