昨年度は主に羽根車前後の非定常流れ場の測定により、旋回失速セルの数、形状、周波数など失速特性の解明を行った。今年度は、(1)翼間流れ場、(2)失速特性の改善法、の二点について研究を行い以下の結果を得た。 1. 翼間流れ場:翼間の非定常流れ場を調べる手段として、動翼前方から後方へ至る外ケーシング壁面上の非定常圧力分布の計測を行った。設計流量では動翼先端隙間からの漏れ渦が翼間通路を下流方向へ拡散していく状況が把握できた。旋回失速状態ではセルの通過による非定常性が加わり正確な流れ状況は把握できなかったが、翼間でセル形状が崩れ、動翼下流位置ではセルは上流のように明確ではないことが分かった。 2. 失速特性の改善法:通常の斜流送風機の動翼上流側に円筒状のセパレータを装着するとともに動翼先端前縁近くの外ケーシングに適当な空間を設けることにより旋回失速が回避できることを見出し、その場合の旋回失速特性の変化を主に周波数分析により明らかにした。この場合、空間の大きさ(動翼前縁からの下流方向への距離)が失速特性に大きな影響を及ぼすが、セパレータの動翼に対する相対位置及び空間の大きさを変えた数種類の実験により、旋回失速を完全に消滅させる最適な幾何学形状を明らかにした。また、この旋回失速改善装置装着による最大効率の低下は2%程度であり、送風機の設計に対し実用上の有効性が大であることを明らかにした。
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