斜流ターボ羽根車の旋回失速特性を解明し、送風機特性改善を検討した結果、以下のような実績を得た。 1. 高比速度斜流羽根車の設計・製作: 準三次元設計法により6枚羽根、比速度1620の羽根車の設計を行い、NC加工により一体削出し羽根車を製作した。 2. 失速特性の解明: 既設の送風機試験装置により送風機試験を行った。低流量域において圧力特性が右上がりの不安定な特性を示し、そこで旋回失速が発生していることを熱線流速計で確認した。旋回失速セルの回転周波数は動翼回転周波数の約77%である。これは軸流送風機の場合とほぼ同様である。旋回失速発生時の流れ場は、流れ方向が正逆に変化する速度ベクトルを含むため、高速応答センサーを用いた6孔ピトー管を新たに開発し、これによりセル内部の速度ベクトルを測定した。セル内部では逆流を伴う不規則流れ分布が存在するが、セル外部では高流量域の場合と同様な流れ分布を示すことが分かった。 3. 失速特性の改善: 通常の斜流送風機の動翼上流側に円筒状のセパレータを装着するとともに動翼先端前縁近くの外ケーシングに適当な空間を設けることにより旋回失速が回避できることを見出し、その場合の旋回失速特性の変化を主に周波数分析により明らかにした。この場合、空間の大きさ(動翼前縁からの下流方向への距離)が失速特性に大きな影響を及ぼすが、セパレータの動翼に対する相対位置及び空間の大きさを変えた数種類の実験により、旋回失速を完全に消滅させる最適な幾何学形状を明らかにした。また、この旋回失速改善装置装着による最大効率の低下はわずか2%程度しかなく、斜流送風機の設計に対し非常に有効であることを明らかにした。
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