光マイクロエンジンの駆動エネルギ源は光であるが、コンピュータシミュレーションによれば光マイクロエンジン回転翼面の表裏に温度差が生じていることが重要と思われる。そこで、光マイクロエンジン翼表裏の温度差をより大きくすることができる新たな翼構成材料を創製することにより作動トルクを増大させることを試みた。レーザ照射により翼面の表裏に温度差が生じるには、例えば表面は可視光を吸収しやすく裏面は反対に可視光は吸収しにくく反射率が高いことが望まれる。さらに、表面と裏面の間では熱伝導率が低いことも必要である。そこで、(可視光を高吸収し赤外線の放射が低い材料)+(断熱材料)+(可視光を高反射し低吸収の材料)なる選択吸収特性を有するロータを開発した。母材としては、アルミ薄板を用いた。本研究では、SiO薄膜、Ge薄膜およびA1薄膜に可視光高吸収・赤外線高反射機能をもたせ、ナノスケール断熱機能を有するロータを開発した。その結果、光マイクロエンジン回転翼を光学的な選択吸収膜を用い、光マイクロエンジン特性(回転数ーKnudsen数、トルクーKnudsen数、翼表面温度差など)を実験的に明らかにし、カーボンブラックに十分対抗できる性能を確認できた。また、レーザ照射された回転翼付近に誘起される巨視的流れに与えるエンジン付近気体分子種などの影響をDSMC法により明らかにすることができた。
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