研究概要 |
1. 平成9年度に製作した実験装置の保温室部は保温性能および温度・流れ場の二次元性などに問題があったので,これらの問題点を取り除いた保温室を製作した。また,保温室内の温度の空間分布を詳細に計測する計測装置も製作した。 2. エアカーテンの拡散特性におよぼす風速と三次元撹乱の影響を二次元噴流発生装置により詳細に検討した。風速は2m/s,3m/s,5m/sとし,噴出口に鋸歯状粗さと柔毛を取り付けて,流れに三次元撹乱を与えた。鋸歯形状は高さとピッチの異なる11種類,柔毛は長さと太さの異なる3種類を用い,熱線風速計で測定した速度分布により拡散特性を検討し,鋸歯の最適形状を明らかにし,柔毛も効果的であることを確認した。鋸歯の最適形状は風速により異なり,風速が大きくなると粗さを小さくすることが効果的である。また,柔毛については,風速が大きいときには,毛の長さを短くすると効果的である。 3. 効果的な鋸歯状粗さを噴出口に取り付けたエアカーテンによる保温室の保温性能を計測した。保温室床面のヒーター出力を600Wに保ち,風速4m/sについて,保温室内外の温度差を測定し,鋸歯状粗さが無い場合の結果と比較検討した。保温性能は50%上昇し,鋸歯状粗さの渦抑制効果により保温性能が著しく上昇することを確認した。また,保温室内の温度分布を測定し,室内の温度分布・対流状態とエアカーテンの流れ模様との関連性も検討し,保温性能におよぼすエアカーテン流れの渦抑制効果の詳細を明らかにした。
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