研究概要 |
強磁場を利用して熱プラズマ流の高機能化をはかるための基礎研究として,真空チャンバー内の減圧熱プラズマ噴流に一対の超伝導コイルからなる磁石により磁場を印加し,磁石中心でのプラズマ励起温度の変化を線スペクトルの相対強度法から求めた.本年度は,トーチ先端から温度測定位置までの距離,プラズマトーチへの供給電流および印加する磁場の条件を種々に変えて測定を行った.加えて,熱プラズマ噴流の変化の様相を超伝導磁石部へ流入する前の上流と流出後の下流,およびコイル間中心の光学測定端子の反対側にある中央の3ヶ所の観測窓からデジタルビデオカメラで撮影し,画像による観測も行った.上流観測窓からの画像からは,マッハディスクやマッハディスク後方の高温領域の形成など典型的な不足膨張超音速噴流の構造が観測された.また,磁場の印加により熱プラズマ噴流は超伝導磁石流入部で半径方向に収縮し,噴流中心の高温部の輝度も増加した.トーチ先端からマッハディスクまでの距離は,磁場の印加により幾分変化するが,トーチへの供給電流を変えた場合のような大きな変化は示さなかった.線スペクトルの相対強度法によるプラズマ励起温度の測定結果は,印加する磁場の強さが増加するにつれて測定位置の温度が上昇すること示した.中央の観測窓から撮影した画像は,印加磁場強さの増加により熱プラズマ噴流の半径方向への収縮の度合いが大きくなることを示しており,この測定結果を裏付けた. さらに,プラズマ励起温度の測定精度の向上を目的として,タングステン薄板を用いた感度較正装置を真空チャンバ内に取り付け,高真空およびアルゴン雰囲気中で本光学計測系における集光系から光検出器までの光の波長に対する感度特性の測定を行い,タングステンフィラメント電球による測定結果と比較検討した.
|