研究概要 |
本研究においては,高速液流現象であるキャビテーションにおいて高壊食性として注目されている渦キャビテーション気泡について,その壊食機構を解明することを目的としている.剥離渦を呈する代表的な鈍頭物体として円柱および3角柱を用い,その後流中に発生する渦キャビテーション気泡について既存の試験流路を用いて気泡圧壊時の高衝撃圧発生メカニズムの解明を目的とした計測を行った. まず,既存の2次元流路および高速ビデオ(最高40500駒/秒)と衝撃圧センサーを組み合わせた気泡崩壊挙動-衝撃圧同時計測システムを用いて円柱および3角柱後流に生じる渦キャビテーション気泡の崩壊挙動を詳細に検討し,その本質的違いを抽出しモデル化と分類を行った.大きく2種類の壊食パターンにつながる4種類の気泡分裂・崩壊・衝撃過程の存在を明らかにした. 上記と同様の条件の下において,流路壁にアルミ板を貼り付けて気泡崩壊挙動と壊食の瞬間の同時計測を行った.この問題は非常に大事な問題であり計測例が世界的にほとんど無い状況であるが,ここでは同時計測に成功し計測例を数例得た.それらの結果により,一回の渦キャビテーションの崩壊において複数の衝撃ピットが生じる得ること,AXIAL-COLLAPSE-TYPEの渦キャビティには壊食性があることを直接確かめ得たことなどの成果を得た. さらに,壊食用板としてアルミ板のほか,インジウムという可塑性に富む柔らかい材料を真空蒸着あるいはスパッタリングを利用して薄膜コーティングした試験板を用いる新しい方法を試み,その手法の確立を計るとともに,キャビテーション壊食機構の解明に有用な指針を与える結果を得た.今後この結果を更に発展させる準備を進めた.
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