研究概要 |
内径50mmの黄銅管の途中に多孔板を組み込み,水を作動流体として流速を徐々に変えながらそのとき発生する変動圧力を圧力変換器で測定し,その周波数と振幅をFFTアナライザーにより求めた.多孔板はすべて黄銅製であり,孔径と孔数はそれぞれ3mmおよび30の一定値に保って板厚を変え,多孔板上流と下流の管路長さの影響も調べた.また圧電アクチュエータにより多孔板を2〜4kHzの範囲で強制加振して曲げ振動モードの測定も行った.以上により,次の事柄を明らかにした. (1)ロックイン現象の発生には多孔板の曲げ振動が密接に関与する.この現象が引き起こされると圧力変動はその振幅が著しく増大し,多孔板の前後で逆相になる. (2)ロックイン現象が発生している定常状態では,多孔板は同位相で曲げ振動を起こし,これが管内圧力変動の加振源になっている. (3)多孔板の板厚を増すと,ロックイン現象の発生する流速域は高流速側に移動するが,そのときの圧力変動の周波数に与える影響は少ない. (4)多孔板が変動圧力の節に位置するようなモードでは,ロックイン現象を生じない. (5)ロックイン現象が発生しないときの渦放出による圧力変動の周波数は,板厚を基準にとったストローハル数で表示すると,板厚によらずほぼ0.9,1.8,2.7のいずれかの値をとる.
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