研究概要 |
管路途中に取付けた多孔板からの渦放出に起因する,ロックイン現象を伴う圧力変動の発生機構を明らかにするための実験を行った.多孔板の幾何形状,曲げ剛性および多孔板前後の管路長の影響を調べた.またロックイン発生時の多孔板の振動と管内変動圧力モードを測定するとともに,圧電アクチュエータによる多孔板の強制振動により生じるそれと比較検討した.結果をまとめると以下のようになる. (1) ロックイン現象の発生には多孔板の曲げ振動が密接に関与する.この現象が引起こされると圧力変動はその振幅が著しく増大する. (2) 多孔板の板厚を増すと,ロックイン現象の発生する流速域は高流速側に移動するが,そのときの圧力変動の振動数に与える影響は小さい. (3) ロックイン現象が発生する流速域とそのときの圧力変動の振動数および振幅は,多孔板の上流側および下流側の管路長の影響を受ける. (4) ロックイン現象発生時,多孔板は同位相で曲げ振動を起こす.そのときの管内変動圧力は,多孔板の強制振動により発生する変動圧力とモード形が極めてよく一致する. (5) 多孔板からの渦放出に伴う圧力変動が管端で反射されて戻ってくると,多孔板前後で圧力差を生じる.この圧力差が多孔板の振動を引き起こして新たな圧力変動源となり,これらの繰り返しにより圧力変動の振幅は次第に成長する.
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