キャビテーション損傷はキャビテーションの形態によってその特性が大幅に異なることが知られている。本研究は半球頭部円筒体まわりに発生するスポット・キャビテーションに着目し、スポット・キャビテーションの様相およびそれによる損傷の速度依存性を実験的に解明することを目的とする。本年度はこのための第一段階として、半球頭部円筒体周りにスポット・キャビテーションを人為的に発生させる方法を確立し、自然にあるいは人為的に発生させたスポット・キャビテーションの様相の観察を行った。さらに、アルミニウム製試験片を用いた損傷実験を行い、損傷ビット分布および損傷ビット数が流速によってどのように変化するかを実験的に検討した。 半球頭部円筒体にトリッピングバンドを設けることによって境界層に撹乱を与え、トリッピングバンド下流に小孔(直径0.3mm)を設けることによって、スポット・キャビテーションを人為的に発生させた。孔の位置は最低圧力点付近とした。 人為的に発生させたスポット・キャビテーションを、キャビテーション係数0.91の場合について瞬間写真および高速映画によって観察した。キャビティ後端付近からは渦キャビテーションの規則的放出が観察された。渦キャビテーション放出のストローハル数(キャビティ厚さを代表長さ、測定部流速を代表速度とする。)は、測定部流速20〜50m/sの範囲では流速に依存せず役0.41であった。 アルミニウム試験片を用いた損傷実験を行った結果、最も激しく損傷を受ける位置での単位面積・単位時間当たりの損傷ビット数は、流速の約5乗に比例して増加することが分かった。
|