研究概要 |
本年度の研究では,超音速流れ場内で発生した先端渦とくさび面上で発生した斜め衝撃波の干渉による流れ場の挙動の変化を実験的に調べた. 1. シュリーレン法による流れ場の可視化により,ボルテックスジェネレータにより発生した超音速流れ場内での先端渦がくさび面上から発生した定在斜め衝撃波を通過することによって,斜め衝撃波の変形が生じる現象をとらえることができた.斜め衝撃波の屈折角度に対して,ボルテックスジェネレータの位置や流れ場の条件との関連を明らかにするとともに,斜め衝撃波の背後に圧縮波を含む複雑な波動システムの形成が観察されることを確認できた. 2. 渦と斜め衝撃波との三次元的な干渉場をとらえるために,くさび面上の温度分布をコレステリック感温液晶シートを用いて計測する方法を確立した.画像処理システムを併用したこの方法によれば,くさび壁面上の温度分布の等温度線を詳細に精度よく描くことができる. 3. くさび壁面上の温度分布の計測から,斜め衝撃波との干渉による渦の影響がくさび面壁上に及ぼす影響を明らかにした.その結果,渦が斜め衝撃波を通過することにより,くさび壁面上には渦がない場合には見られなかった温度変化領域が確認された.渦崩壊の定量的考察を行うのに,この温度変化領域に着目することが有効な方法であることが確認できた.
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