本研究の最終年度にあたる平成11年度は、伝播する垂直衝撃波と衝突する鋭いコーナーで回折した衝撃波背後の流れに着目し、回折衝撃波の背後に形成された渦が対向する進行衝撃波の通過によってどのように崩壊し、進行衝撃波の分枝によってどのような新しい衝撃波の波系システムが形成されるかを数値計算により調査した。その結果、伝播する垂直衝撃波は回折衝撃波を通過することによって減速し湾曲した形状になり、その傾向は渦の通過によってさらに強まることがわかった。また、反射衝撃波の通過によって渦はコーナーの近傍で巻上がり、壁の上面を伝播する反射衝撃波の三重点との間に滑り面を形成することが明らかになった。続いてくさび面に貼付した感温液晶シートの画像解析による実験的研究を行い、温度分布から流れ場の三次元的特性について実験結果を考察した。斜め衝撃波通過による渦崩壊が固体境界面の温度分布の変化に与える影響を明らかにすると共に、圧力比の非定常性の影響についても言及した。これらのことから、渦の存在と圧力比の非定常変化により、固体境界表面に反射衝撃波による温度変化領域に相違があらわれることがわかった。以上の詳細な結果については、研究成果報告書にまとめられている。
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