研究概要 |
核融合炉の第1壁やダイバータ板、ロケット燃焼器ノズルでは、20MW/sqmKに及ぶ高熱流束熱除去が必要とされる。高サブク-ル沸騰では条件により、遷移沸騰領域で沸騰曲線が急激に立ち上がる気泡微細化沸騰が生じ、あまり伝熱面温度の高くないところで、50MW/sqmK以上の熱流束まで安定した伝熱が行われる。極めて高い熱流束を実現するにもかかわらず、その発生の機構や正確な伝熱特性さえ明らかでないこの現象について、本研究では気泡微細化沸騰を、気泡崩壊時に発生する微小噴流による液体の伝熱面への協力な供給により、固液接触がCHF以上の高温、高熱流束まで維持されて生じるものと考え、気泡の成長、崩壊の挙動を詳細に観察し、その時の圧力変動および伝熱面直上での局所温度変動の同時測定などにより、液体微小噴流の存在を確認するとともに、その解析から伝熱の機構を考察することを目的とする。 本年度は鉛直伝熱面に対向して圧力変換器を設置し、CHF後の各沸騰形態における圧力変動の測定を行い、気泡の挙動との関係について考察を試みた。本沸騰系ではCHF後の現象として、S-MEB I,S-MEB II,C-MEB,膜沸騰が現れるが、このうちS-MEBI,IIが他の二つおよび核沸騰などと比べて高い圧力を発生する。S-MEBI,IIではピーク圧力の平均値は熱流束と強い相関を示す。このとき同一熱流束での平均ピーク圧力は、サブク-ル度が大きいほど小さくなる。なお、サブク-ル度が小さくなりC-MEBや膜沸騰に遷移すると、平均ピーク圧力は核沸騰高熱流束域よりも小さくなる。S-MEBの周波数特性は三つのピークをもつ。400〜800Hzに現れるピークは、S-MEB Iでは熱流速が高くなるにつれて高周波に移行する傾向がある。このピークがS-MEBIの気泡の成長・崩壊に関連したものであることを明らかにした。
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