研究概要 |
本研究の独創的な点であり,かつ本研究の目的としている点は,プール沸騰系で現れる蒸気塊の微細化,衝突液滴沸騰系で現れる液滴の微細化及び高温溶融液の瞬時凝固過程での微細化の3者に共通する界面温度条件(しきい値)を液・液系に適応させ,蒸気発生機構を解明することにある. 平成9年度では,特に,スズ-水系の液・液直接接触沸騰状態を実現させ,その挙動をレーザホログラフィによる等温度干渉縞模様として高速度ビデオにて鮮明に写し出し,そこで認められる爆発的液/液接触時での蒸気生成機構を明らかにするとにあった. 本報告は,その目的を達成させるために,1mmの水膜が形成された石英レンズ面上に温度が600℃の溶融スズを落下させ,そこでの爆発的溶融スズの飛散挙動を石英レンズの裏面から,レーザホログラフィによる等温度干渉縞模様として高速度ビデオにて鮮明にとらえたものであり,次のような新たな知見が得られた. 1.溶融スズが水膜に衝突した時,溶融スズが直接石英面に触れ,石英面が局所的に加熱されたと思われる同心円状の数本の等密度干渉縞が認められた. 2.しかし衝突後数ミリセカンドには石英面上の一部から多数の小さな円形の干渉縞が斑点のように次々と発生かつ消滅し,その範囲は広がった. 3.この時,石英円柱の上面を水平方向から同時に撮影したビデオ画像は微細な溶融金属が爆発的に大気中に飛散しているのが写し出されていた. 以上の結果から,この斑点状の干渉縞の消滅・生成は、溶融金属が直接石英面上の水膜と接触し,その接触界面において瞬時に微小蒸気泡が発生し,それが溶融金属中へ向けて離脱していることが推測できた.
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