研究概要 |
高温予混合ディーゼル燃焼を実現するために,現有設備の試験用ガソリン機関(花火点火機関用)を改造し,傘状噴霧ディーゼル機関用エンジンヘッド(シリンダ内流動計測用;圧縮比6,燃焼特性計測用;圧縮比20の計2種類)を作成した。作成したエンジンヘッドを使用して,駆動運動が正常にできることを確認し、また,燃料噴射系も動作が十分であることが確認できた.本年度は,圧縮比6のシリンダヘッドを使用し,レーザドップラ流速計によりシリンダ内流れを解析した.実験により,製作したシリンダヘッドはスワール流が弱く,設計当初の意図通りであったが、タンブル流が発生していることが明らかとなった.この点については,引き続き圧縮比20のシリンダヘッドを使用した燃焼実験により,影響を明らかにする予定である. 本燃焼システムでは傘状噴霧が重要な役割を果たすため,その流動特性を知る必要がある.そこで,傘状噴霧の流動を高速度カメラで撮影し,流動状態を観察しさらに噴霧到達距離を測定した.同時に,KIVA3を使用した燃料噴霧シミュレーションを行い,噴霧の解析を行った.今回は弁リフトの違いによる噴霧性状の変化に着目して数値シミュレーションを行ったが,噴霧到達距離を実験値と比較した結果,今回の弁リフト量固定の条件でのシミュレーション結果は実験値との間に大きな差が生じた.このため,現在弁リフト量の時間変化も考慮したシミュレーション法を検討している.さらに,今後使用したシミュレーションモデルの変更や新しいモデルの作成などが課題である.
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