管内を流動する過冷却水中に氷核が発現する際に生じる非定常凝固過程について、詳細な測定、数値解析および観察を行い、ダイナミック型潜熱蓄熱を高性能化する上で重要な基礎研究課題の一つである、管が凝固によって閉塞に至る現象の初期過程のメカニズムを明らかにした。研究実績の主な内容は、以下の通りである。 1. 管内を流動する過冷却水の下流域に、人為的に氷核を発現させた後の管内圧力分布および管壁温度分布の非定常変化について、初期管壁温度、過冷却水の初期流速、管内流入温度をさまざまな条件に設定した詳細な測定を行った。 2. 熱電対などの温度測定素子を挿入出来ない、不安定な過冷却水の管内流の温度分布を数値計算によって解析するとともに、管出口の混合平均温度の実験結果と比較することにより、計算結果の妥当性を検証した。3. 管内を流動する過冷却水中に氷が発現した後の、デンドライト結晶および稠密固相の成長過程を観察する とともに、上記1.および2.の測定・解析結果を分析して、稠密な固相の成長速度を支配するバラメターを抽出し、成長速度を律則する一般的な物理量を示した。 4. 流動水の過冷却度分布、稠密固相の成長、デンドライト結晶の成長・消滅が複雑に相互依存する、流動過冷却水の過冷却緩和過程のメカニズムを明らかにした。
|