研究概要 |
近年の半導体産業における加工技術の目覚ましい進歩により、マイクロからナノスケールの加工が可能となり、これに伴って微小スケールにおける温度分布等の熱流体場の測定が重要となってきている。本研究では原子間力顕微鏡(AFM)に用いられる微小なマイクロカンティレバーをセンサープローブとし、このカンティレバーのたわみを光てこ法や抵抗変化を用いて検出することにより、高感度、高空間分解能で応答速度の速い温度・熱流束測定法を開発し、これを真空蒸着過程へ適用することにより金属分子線の熱流束や分子線強度の測定を行い、分子線強度が凝縮係数に及ぼす影響を明らかにすることを目的としている。 本年度は,AFMのマイクロカンティレバーを利用したバイマテリアルマイクロカンティレバーおよび圧電性結晶からなるピエゾレジスティブレバーを用いて温度や熱流束の計測を行った。 1. バイマテリアルカンティレバーを用いた計測システムの分解能は10^<-3>K、1μW、時定数は10msec程度であることを示した。 2. ピエゾレジスティブレバーを用いることにより光てこ方式に較べて格段にシンプルな微小温度計測システムを構築することが可能であることを示した。この場合の計測システムの分解能もやはり10^<-3>K、1μW、時定数は10msec程度であることを示した。 3. 噴流の質量流速によりピエゾレジスティブレバーが撓むことを確認し、この効果を用いて噴流の速度分布を測定できることがわかった。 今後は、ピエゾレジステイブレバーに金属薄膜を蒸着することによりバイマテリアル効果を付加することにより、より高感度な熱流速計測を行う予定である。
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