(1)実験装置および計測装置の構築 既存の軸対称衝突噴流水槽を改修し、固体粒子群の連続注入が可能な流路を構築した。熱伝達率測定のための伝熱板を製作し、ステンレスホイルの直接通電加熱によって等熱流束条件を実現した。壁温測定のためにステンレスホイル裏面に多数の熱電対を取り付け、それらの出力を同時サンプリングするための温度測定システムを構築した。 (2)伝熱測定 アルミニウム粒子、スチレン粒子、ガラス粒子を2%の体積割合で水に分散させ、衝突壁面の熱伝達率を測定した。その結果、水単相流の場合と比較して、アルミニウム粒子では熱伝達率が僅かに減少し、スチレン粒子ではほぼ同一であった。他方、平均粒径0.5mmのガラス粒子では10〜15%、平均粒径1mmのガラス粒子では20〜30%の熱伝達率増加が見られた。このような熱伝達率の変化は粒子緩和時間でよく整理でき、粒子緩和時間の増加に伴って熱伝達率が増加することが明らかになった。 (3)速度場測定 2台のテレビカメラを用いたステレオ撮影によって、衝突噴流中の粒子(平均粒径1mmのガラス粒子)の運動を3次元的に測定した。その結果、衝突壁近傍を除く領域では粒子平均速度と周囲流体平均速度との差(スリップ速度)は沈降速度で説明できること、衝突壁近傍では流線曲率による遠心力効果によってスリップ速度が生じること、粒子の拡散は一様乱流中のそれに近いこと、などを明らかにした。
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