研究概要 |
半導体用放熱基板は、特に半導体チップやパッケージとの熱膨張率の整合性と放熱特性の優れた材料が望まれる。本研究では銅(Cu)とモリブデン(Mo)系複合材料に着目し、粉末冶金法による粒子型複合材料(以下M/CMと呼ぶ)と、銅とモリブデン板をCu-MO-Cuのように三層に張り合わせた積層型複合材料(以下L/CMと呼ぶ)の二種類を作製した。 これらの複合材料において、CuとMOの構成比率を変化させた幾種類かを作製し、それらの熱物性値及び機械的特性を測定して次のような結果を得た。 (1) 熱膨張係数はM/CM、L/CMともCuの増加とともに増大するが、特にL/CMの場合Cu量が増加してもそれほど増大せず,MOが強く影響を与えた。 (2) 比熱はM/CM、L/CMともCu量の増加とともに増大するが、とくにL/CMの場合Cu量が増加してもそれほど増大しなかった。 (3) 熱拡散率はM/CM、L/CMともCuの構成比率の増加とともに増大するが、特にL/CMの場合Cuが増加してもそれほど増大しなかった。 (4) 熱伝導率はR/CMにおいて2成分混合率に関するMaxwellの理論式で表すことができ、L/CMにおいて三層材の直列モデルから導いた理論とほぼ一致した。 (5) 機械的特性は引張強度、ヤング率、ポアッソン比においてM/CM、L/CMともほぼ線形複合則成立したが、その計算値よりも小さい値を示した。また、伸び率及びエリクセン値は線形複合則が成立せず,Cuの比率に関わらずMoの値が全体的に大きく影響した。
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