研究概要 |
本年度は,伝熱面キャビティからの気泡の成長および離脱のシミュレーションを行った.現象を軸対象二次元で近似し,直径20μm,深さ20μmのキャビティ内に初期気泡をおき,気泡がキャビティを出て成長・離脱するまでの様子をシミュレーションした.当初は,サイクリックな離脱・成長を目指した計算を実施したが,離脱後の気泡の異常変形および圧力場の振動などの影響で,当初の目的を達成するまでには至らなかった.しかしながら,得られた温度場や熱伝達係数の分布,気泡の成長の過程などは通常よく観察される実験結果に極めて酷似しており,本数値シミュレーションの有用性が改めて認識されたものと言える. ついで,気液相変化界面における計算手法の改良を試みた.直交メッシュ系の過熱液中に球形初期気泡をおき,成長のプロセスをシミュレーションした.得られた気泡の成長の様子は,気泡形状の点に関しては球形であり,問題がなかったが,流動および温度分布では斜め45deg方向に球対称でない分布が出現した.これは直交メッシュを使ったことが原因であり,球座標系では現れないものと思われる.直交メッシュを使用することで,任意の形状の気液二相系を取り扱うことが可能であるが,格子に対して45deg方向の熱流動については問題が残っている.ただし,計算精度上さほど大きな誤差にはならないような程度のものである. また,本研究で開発した計算手法は自由界面を持つ固液(あるいは固気)系の計算も可能であり,例えば金属の凝固のシミュレーションなどにも応用が可能である.
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