研究課題/領域番号 |
09650247
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
熱工学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
高松 洋 九州大学, 機能物質科学研究所, 助教授 (20179550)
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研究分担者 |
山城 光 九州大学, 機能物質科学研究所, 助手 (70239995)
本田 博司 九州大学, 機能物質科学研究所, 教授 (00038580)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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キーワード | プール沸騰 / シリコンチップ / フロリナート(FC-72) / 沸騰開始 / 限界熱流束 / 伝熱促進 / リエントラントキャビティ / 表面微細加工 |
研究概要 |
素子の高集積化およびクロック周波数の増大に伴い、コンピュータチップの発熱密度が増大している。これに対する高性能冷却法として不伝導性液体を用いた浸漬沸騰冷却が考えられているが、液体の高い濡れ性のため沸騰開始に必要な伝熱面過熱度が高く、沸騰開始前後でチップ温度のオーバーシュートがかなり大きくなることが主な原因で実用化に至っていない。本研究は、一般の液体に対しては沸騰核として有効であるリエントラント型のキャビティが上述のような高濡れ性液体の場合にも有効であるかどうかを実験的に確かめることを第一の目的とした、模擬チップの沸騰開始および沸騰熱伝達に関する研究である。 試験液体はフロリナートFC-72、伝熱面はシリコンウエハを切り出した10×10mm^2の模擬チップであり、その表面には半導体の製造技術を用いてリエントラントキャビティが設けてある。キャビティの口径3種類(1.6μm、3μm、9μm)および個数密度2種類(81および9.6×10^3個/cm^2、それぞれピッチ1mmおよび0.1mmに相当)の場合および平滑面の場合について実験を行った。また、FC-72中の溶存空気の影響を明らかにするため空気のモル分率が約3×10^<-4>(脱気状態)と約3×10^<-3>(過冷度25Kにおける飽和状態)の二つの条件でそれぞれ実験を行った。結果は以下のとおりである。 (1) 沸騰開始温度は溶存空気の量によって大きく異なるがキャビティ径および液体過冷度による影響は小さい。 (2) 脱気状態の場合、沸騰開始温度はキャビティ口径から求められる臨界過熱度よりかなり高い。したがって、キャビティ内に液が進入し不活性になっていると考えられる。また、既存の不均室核生成理論では沸騰開始が説明できないと考えられる。 (3) キャビティを有するチップの伝熱特性は平滑面チップよりかなり優れており、限界熱流束も高くなる。 (4) 空気溶存状態の場合の伝熱特性は脱気状態の場合に比べてやや高い。
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