機能性多孔質媒体を用いた自己断熱形ガス-ガス熱交換器の開発

1998 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 09650248
• 研究機関: 九州大学
• 研究代表者: 富村 寿夫 九州大学, 機能物質科学研究所, 助教授 (70136563)
• 研究分担者: 張 興 九州大学, 機能物質科学研究所, 助手 (40236823)
• キーワード: 熱交換器 / 熱放射 / 多孔性媒体 / エネルギー交換 / 断熱

研究概要

本年度は円筒型ガス-ガス熱交換器の設計・製作、基礎データの取得、有効熱回収率に関する簡易計算法の提案と解析コードの開発、伝熱性能に関する平板系システムと円筒系システムの相違などを主要課題として研究を行った。
円筒型熱交換器の本体は外径216mm、高さ332mm、厚さ3mmの耐熱ステンレス製である.高温部は外周部を構成する排熱回収部とコア部を構成する低温部の間に置かれている。低温部と高温部間および高温部と排熱回収部間の隔壁は厚さ2mmの耐熱ステンレス製であり、表面には耐熱黒体塗料が塗られている。実験で使用した多孔性媒体はニッケル・クロム系の発泡金属であり、空隙率約93%、平均孔径0.6mm、比表面積3700m^2/m^3である。
実験と数値解析は、近寄流と離反流に関して、高温部の作動ガス入口温度が673〜873K(400〜600℃)、多孔性媒体の光学的厚さが6.5、高温部の作動ガス平均流速が0.10、0.07、0.05m/s、対応する排熱回収部および低温部の作動ガス平均流速が0.07および0.16m/s、0.05および0.11m/s、0.04および0.08m/sの条件で行った。その結果、排熱回収部を設けることにより平板系システムの場合と同様に、熱交換器や外壁温度を低く保つことが可能であるとともに良好な熱回収中が得られることを明らかにした。また、平板系システムの数値解析結果に基づく簡易計算法により、円筒形システムでの有効熱回収率の測定結果が最大30%程度の差で予測できることを示した。さらに、高温部の作動ガス平均流速が0.07あるいは0.05m/sと低い場合は、平板系システムの方が10%程度高い有効熱回収率が得られることを実験的に明らかにした.非定常特性に関しても良好な実験結果が得られており、現在、平板系での定常シミュレーションコードを拡張した非定常数値解析コードを開発中である.

研究成果

• [文献書誌] 富村寿夫: "新型式ガス-ガス熱交換器の多孔性媒体による効果的断熱法" 日本機械学会北陸信越支部第35期総会・講演会. Vol.1. 53-54 (1998)
• [文献書誌] 富村寿夫: "自己断熱型ガス-ガス熱交換器の伝熱特性に関する実験的研究" 日本機械学会九州支部第51期総会・講演会. Vol.1. 276-278 (1998)
• [文献書誌] 富村寿夫: "自己断熱型ガス-ガス熱交換器の伝熱特性に及ぼす主要パラメータの影響" 第35回日本伝熱シンポジウム. Vol.2. 471-472 (1998)
• [文献書誌] Toshio Tomimura: "Experimental and Theoretical Investigation of Self-insulated Gas-to-gas Heat Exchanger" Proceedings of the 11^<th> International Heat Transfer Conference, Kyongju, Korea. Vol.6. 323-328 (1998)
• [文献書誌] Toshio Tomimura: "Analytical and Experimental Studies on Heat Transfer in Self-insulated Gas-to-gas Heat Exchanger" The 5^<th> ASMS/JSME Thermal Engineering Joint Conference, San Diego, California, U.S.A.発表予定. (1999)
• [文献書誌] Toshio Tomimura: "Improvement of a New Type of Gas-to-gas Heat Exchanger Efficiency and Effctive Thermal Insulation by a Porous Medium" Proceedings of the 2^<th> Trabzon International Energy and Environment Symposium, Trabzon, Thrkey. 出版予定. (1999)