研究概要 |
低圧容器内に置かれた高温加熱体の非定常冷却と容器内の圧力回復に関する実験を試験流体として水、初期圧力500-1000Pa,噴流速度1-15m/s,噴流径1-3mm,噴流温度10-90℃、加熱体材質銅、真鍮および炭素鋼について行い、以下の結果を得た。 1. 圧力回復と熱伝達の特性は、3つの領域に分割される。 領域 A:圧力の回復が過熱液噴量からのフラッシュ蒸発によって支配される。この領域は、非常に短時間で、熱伝達は、噴流が衝突している非常に小さい範囲に限られている。そして、熱伝達量についてはほとんど考える必要がない。 領域 B:圧力の回復は、加熱体からの熱伝達量に支配されるようになる。この領域は、加熱面上に形成される沸騰領域が、時間と共に周囲に拡大していく。 領域 C:圧力は回復し、ほぼ一定となる。この領域での熱伝達は、強制対流熱伝達に支配されている。 2. 圧力回復と伝熱量は、加熱面材質によって大きき異なることが分かった。これは、濡れ開始温度が材料の熱的性質に支配されるためである。すなわち、熱伝達量が加熱体側の伝熱律則になっているためである。 3. 加熱体内の非定常温度変化から表面での熱流束を推定するプログラムを開発した。しかし、このプログラムでは、時間遅れを正確に推定することに問題点があった。 4. 非定常冷却中の加熱面からの熱伝達量(時間遅れを無視)と沸騰領域の移動との関連を明らかにした。 5. 定圧容器内の蒸気を集中質量系としたモデルを提案し、加熱面からの熱伝達量から圧力回復を推定した結果と、実験結果と良い一致が得られた。 6. 非定常冷却中の熱伝達量について、時間遅れを考慮した計算方法を開発中である。
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