研究概要 |
昨年度に引き続き,既存の伝熱管型ではない二種類のプレート型吸収熱交換器を対象とした吸収実験と,静止臭化リチウム水溶液膜を対象とした界面撹乱の可視化観察実験を行った.さらに今年度は,縦型管内吸収式吸収熱交換器についても,界面活性剤添加による蒸気吸収・伝熱促進効果を実験的に調べた.また,平滑型プレート吸収熱交換器を対象に,臭化リチウム水溶液膜への冷媒蒸気吸収について,数値シミュレーションを行った. まず,プレート型試作吸収器を用いた性能実験からは,試作したプレート型吸収熱交換器の冷凍能力が現行の水平伝熱管型吸収熱交換器の性能を10〜20%上回る結果を得た.特に横溝波形形状のプレートが性能向上が期待できることが分かった.この性能向上の原因について調べるために,数値シミュレーションによりプレート型吸収器の基本特性を明らかにするとともに,臭化リチウム水溶液の流動状況の可視化観察と溶液温度分布の測定実験から局所吸収熱交換特性を明らかにした.以上の結果から,従来行われてきた入口・出口の状態のみから吸収熱交換器の性能を求める手法は不十分であることを指摘し,局所熱交換特性に基づいて求めた実質熱通過率を提案した. さらに,熱工学的な観点からプレート型吸収熱交換器の評価を行うために,熱交換単位数,温度効率および吸収効率を求め,現行タイプの吸収熱交換器との性能比較を行った.その結果,プレート型吸収器の温度効率は現行タイプに比べて1.6倍ほど上回るようになること,しかし,吸収効率にはほとんど差が見られないことを明らかにした.
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