実験的研究では、W溝付き管(Herringbone tube)を取り上げ、流道伝熱特性の管軸方向分布の測定と工業用硬性鏡による気液二相流の流動様相の観察を行った。そして、W溝付き管の熱伝達係数は凝縮の進行とともに低下し、質量速度が熱伝達に及ぼす影響は平滑管の場合ほど顕著に見られないことを見いだすとともに、工業用硬性鏡による流動様相観察実験の結果とも併せて、W溝の効果は液流量が低く、蒸気流速が大きい領域で発揮されることを解明した。 理論解析では、管内面にらせん溝を有するマイクロフィン付き管の熱伝達の解析について、前年度に引き続いて成層流モデルを開発した。そして、前年度までに開発した環状流モデルと成層流モデルによる熱伝達係数の予測値を4種類の管、4種類の冷媒に関する従来の実験値と比較すると、大部分の実験値は環状流モデルと成層流モデルによる予測値の高い方と±20%以内で一致した。なお、両者の一致はフイン高さが高いほど、また蒸気密度が大きいほど良好であった。したがって、両理論モデルによる周平均熱伝達係数の計算値の高いほうを採用することにより、凝縮の開始から終了にいたる全領域の熱伝達特性を良好に予測できると考えられる。
|