研究概要 |
実験的研究では、W溝付き管(Herringbone tube)内水平管内凝縮を取り上げ、流動伝熱特性の測定と気液二相流の流動様相の観察を行った。そして、平滑管の熱伝達係数はFujiiの推奨式と平均絶対値偏差12.5%で一致したこと、W溝付き管の熱伝達係数は凝縮の進行とともに低下し、質量速度が熱伝達に及ぼす影響は平滑管の場合ほど顕著に見られないことを見だすとともに、W溝の効果は液流量が低く、蒸気流速が大きい領域で発揮されることを解明した。 理論解析では、管内面にらせん溝を有するマイクロフィン付き管を取り上げて熱伝達の数値解析を行った。はじめに、流動様相観察結果から主要な流動様式を環状流と成層流の2種類に大別した。環状流モデルについては、蒸気流による気液界面せん断力と表面張力による圧力差の影響を、成層流モデルについては重力と表面張力による圧力差の影響をそれぞれ考慮した熱伝達のモデルを開発した。ついで、環状流モデルと成層流モデルよる熱伝達係数の予測値は4種類の管、4種類の冷媒に関する従来の実験値と比較すると、大部分の実験値は環状流モデルと成層流モデルによる予測値の高いほうと±20%以上で一致した。なお,両者の一致はフイン高さが高いほど,また蒸気密度が大きいほど良好であった。したがって,両理論モデルによる周平均熱伝達係数の計算値の高いほうを採用することにより,凝縮の開始から終了にいたる全領域の熱伝達特性を良好に予測できると考えれらる。
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