研究概要 |
ER流体は、外部からの電場印加によって粘性を数ミリ秒のオーダーで可逆的に変化できる機能性流体であり,その特徴によりER流体を作動流体とする流体回路では,全く可動部を持たない電極部だけからなるERバルブを用いて流量や圧力を制御することが可能となる.本研究では,分散系ER流体の二次元流路内流れの流速分布やERバルブのマイクロマシンへの応用を考慮した微小すきま流れの流動特性について検討し,さらにPWM制御ERバルブを用いたマイクロアクチュエータのサーボ特性についても実験的に検討している. 圧力流れモードにおける二次元流路内のER流体の流れでは,高速度カメラを用いた可視化によるPIV法により電極間の流速分布を計測し,流路中心部に流速分布が平坦となるプラグ領域の現れるビンガム流体としての挙動を示すことを明らかにしている.また,ビンガム流体モデルを仮定した理論解析結果と比較することにより,ER効果が平均流速の増大に伴い低下するという流速依存性を明らかにしている.微小すきま流れの流動特性では,二枚の平行平板ガラス電極からなるERバルブを試作し,電極間隙0.1mm程度の微小間隙を流れる粒子分散系ER流体のマイクロ流動特性に関して圧力・流量特性や流れの可視化観察に基づいて検討を行い,微小間隙ではER効果が電極間隙に対して強い依存性を示すことを明らかにするとともに,電場強度の増加に伴い流路内に多数の固定クラスターからなる島状の閉塞した領域が現れ川状の流路が形成されることを見出している. さらに,3ポートタイプのERバルブを用いた単一ベローズ型マイクロアクチュエータの位置フィードバック制御では,補償要素としてPID制御則を適用し2つのERバルブへのPWM波のDuty比を偏差に比例して可変する制御方法により,マイクロアクチュエータの制御を適切に行えることを示し,制御則としてPID制御則が有効であること,8Hz程度のバンド幅の周波数特性が実現できることなどを明らかにしている.
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