ビークルの乗り心地の見地から、ファジィ理論を用いて自己調整機能を有するアクティブおよびセミアクティブサスペンションを研究・開発した。大型バスに対してはアクティブサスペンション、また小型乗用車に対してはセミアクティブサスペンションを開発した。これらの開発は、シミュレーションでサスペンションを設計し、実車の走行試験およびモデル実験にて妥当性を確認した。アクティブサスペンションでは、定常な路面形状を与えてファジィ制御則およびメンバーシップ関数を決定した。ただし、前件部変数としては車体の上下およびピッチモードの加速度や速度を用いた。また、非ファジィ化法として計算処理の点から主に代数積-加算-重心法を採用した。この制御を基にして、時間的に急変する路面に対して制御性能を劣化させないように制御構造を適応的に変化させる自己調整サスペンションを開発した。これは、後件部のメンバーシップ関数を前件部変数の測定値によって変化させることによって行った。また、制御性能を向上させるために2つの方法を提案した。ひとつは、ビークルの走行前方の路面形状を測定して予見制御を設計しアクティブ制御に加えた。もうひとつは、前・後車軸に動吸振器を付加して前・後輪間の時間差によって生じる振動数の影響を除去した。セミアクティブサスペンションでは、サスペンションの減衰力を選択させるファジィ制御則を設計した。ただし、前件部変数としてはサスペンション変位とその時間増分とした。特に、減衰力の切り替えには10ms程度の遅れが生じ制御性能が劣化するので、ファジィ制御則において補償した。設計したサスペンションの妥当性は、実車の走行試験で検証した。また、1/4ビークルモデルを製作し、空気圧アクティブサスペンションを実験に基づいて設計した。
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