研究概要 |
平成11年度では,昨年度に製作した積載量20kg相当の小型モデルの磁気浮上型防振装置を用いて,これまでにコンピュータ上で設計・評価した制御則をインプリメントして防振性能を実測した.しかし,実験ではコンピュータシミュレーションほどの防振効果を確認できなかった.これまで採用したテーブルの制御モデルの次元は鉛直方向だけを考慮した1自由度モデルであったことが実機の防振性能劣化の原因と推定した.そこで,1自由度モデルから鉛直方向と水平2軸回りの3自由度モデルに変更して防振制御設計を行ない,コンピュータシミュレーションと実験を実施した. さらに,実機での防振性能がシミュレーションより悪い原因として浮上テーブルやアクチュエータなどの動特性が誤差を含むことを懸念して,サブスペース法によるモデルの同定と制御を実施した. 走査電子顕微鏡などと同様に電子ビームを走査する半導体製造や検査装置では電子ビームを外部から走査できる.このことに着目して,床振動加速度をフィードフォワードして適応制御法でイメージスキャンコイルを用い電子ビームを操作する防振方法の検討も行なった.本研究の今後の展開としては,磁気浮上除振装置自体の制振性能向上と走査電子顕微鏡などの電子ビーム制御による除振の両研究を継続し,半導体の描画装置等への応用を図る.
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