研究概要 |
本研究では、分散形振動搬送により,装置をコンパクトにシステムをフレキシブルにすることを目指した. 平成9年度は,振動機械1台による振動搬送の場合を取り上げ,被搬送物の反作用が大きく働く場合の振動搬送メカニズムを解明することに重点をおいた.まず,シュミレーションで,被搬送物の質量や運動が振動機械の共振特性にどのような影響を与えるのかを調べた.被搬送物の質量が振動機械本体に比べて無視できない大きさのときは,振幅が小さいときは共振周波数が低下するが,振幅が大きくなると振動機単体の共振特性に近づくことがわかった.また,シミュレーションと諸元をほぼ一致させた振動搬送実験装置を設計・製作した. 平成10年度は,平成9年度に作製した振動搬送実験装置を用いて,振動機械の共振特性と共振点自動追尾の実験を行うとともに,詳細な数学モデルを作成して,振動搬送のシミュレーションを行った.まず,被搬送物の質量が共振特性に与える影響を実験で確かめた.次に,この共振周波数の変化を自動的に追尾するシステムを,変位フィードバックによって発生する自励振動で実現した.さらに,詳細な数学モデルを作成してシミュレーションを行い,実験結果と一致することを確かめた. 平成11年度は,変位フィードバックの代りに速度フィードバックを用いて自励振動を発生させ,共振点の自動追尾を実現した.速度正帰還による自励振動を用いることで,自動追尾する共振周波数の範囲を広げ,搬送可能な質量を大きくした.また,速度フィードバックゲインの大きさを変化させることで,振幅を一定に保つとともに,自励発振とアクティブ制振により,速やかな搬送の開始・停止を実現することができた.さらに,このように制御した振動搬送機械を複数台用いた分散形振動搬送を実現した.
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