研究概要 |
平成9年度の研究成果をまとめると,以下のようになる. (1)空気ダンピング式動吸振器が三要素型動吸振器としてモデル化できることを示した.ピストンとシリンダより構成される空気ダンパは,空気のもつ圧縮性により,動的な力に対しては復元力を発生する.この空気ダンパは,ばね要素とダッシュポットを直列に組み合わせたマックスウェルモデルとして簡便に表現でき,そのばね定数と減衰係数の計算式を導いた.この空気ダンパを動吸振器の減衰器として用いるには,ダンパと並列にばねを配置する必要があり,空気ダンピング式動吸振器は三要素型動吸振器として表現できる. (2)三要素型動吸振器を最適設計するための実用設計式を導いた.三要素型動吸振器の最適設計に関する研究は非常に少なく,報告されている式は信頼性に欠けていた.我々は,主系の最大振幅率を最小化するという最適化問題に対する厳密解を数値解法(非線形計画法のシンプレックス法)により求めた.さらに,この最適化問題における準最適解を代数学的な数式解の形で導出し,厳密解と比較することにより,この数式近似解が実用的には十分な精度を有していることを確認した. (3)上下方向と水平方向の制振用動吸振器を設計・製作した.上記の実用設計式により,ある機械構造物の上下方向の振動制御用動吸振器と水平方向の振動制御用動吸振器を設計・製作した.さらに実験を行って,これらの動吸振器が理論解析によって予測されていた通りの制振性能を発揮していることを確認した.
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