研究概要 |
静粛環境の創生に不可欠な実用的で信頼性の高いハイブリッド固体音騒音制御法の確立のための基盤研究を行った。本研究の特徴は,アクティブ方式とパッシブ方式の得意分野を分担させる点にある。アクティブ方式はパッシブでは困難な低周波振動の制御に当たった。パッシブ方式はアクティブでは難しい高周波振動騒音の抑制に当てた。通常は制御のために低次元化モデル作成と言う手法が採られるわけだが,そのことによって無視された共振周波数でスピルオーバと呼ばれる発振現象が起こる。平板構造物では,特にこの問題が起こりやすいために,本研究では,そのようなスピルオーバを起こすこと無く,しかも簡素な制御システムを用いて希望の周波数範囲まで所用の共振周波数を振動制御する必要がある。 そこで,本研究では,研究代表者が提案する不可制御・不可観測性を用いた低次元物理モデル作成法に基づく9質点モデルを作成し,そのモデルを用いてフィルタ包含順最適制御に基づく制御系設計を行い,遮音板の10次モードまでの振動制御実験を行った。更に高次モードはアクティブ制御では困難であるので,多重動吸振器によるパッシブ制御を高次モードの振動制御にも適用し,11次モード以上の制振を行った。その結果,初年度の研究としたはアクティブ方式とパッシブ方式を融合した固体音の良好な制御効果が得られた。次年度はこの方式による遮音性能の評価を行いたい。
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