研究概要 |
本研究の目的は、スキー板と雪面の連成運動を考慮したスキー滑走のシミュレーション法を開発することである。平成9年度に引き続き研究を行った結果、平成10年度は下記の研究成果が得られた。1)前年度までの二本足スキーに加えて、一本足スキーを開発した。一本足スキーの開発により、スキー滑走の実験結果と数値計算結果との定量的な比較が容易となる(比較検討は次年度以降の研究課題である)。2)厚さおよびサイドカーブを変化させたスキー板を多数製作した。これらのスキー板の中心線から偏心させた位置に重りをのせることにより、ねじりモーメントを作用させたスキー滑走系(一本足スキーに相当)を用いて滑走実験を行った(平成9年度購入設備である画像解析装置を使用)。その結果、下記の事項が明らかになった。a)スキー板が短くなっても、スキーターン軌跡の曲率半径は変化しないが、スキー板は良く回転する。b)スキー板のウエスト幅を一定にし、ショルダー幅およびヒール幅を大きくした場合には、スキーターン軌跡の曲率半径は大きく(ターンは大回りと)なる。c)スキー板の曲げ剛性が小さくなればスキーターン軌跡の曲率半径は小さく(ターンは小回りと)なる。これらの結果は既に発表済みの数値計算結果とも良く一致した(「スキーターンに及ぼすスキー板の形状と機械特性の影響」と題して、日本機械学会東海支部第48期総会講演会(平成11年3月20日)にて発表)。3)前年度までに開発したスキー滑走のシミュレーション法を整理し、"Simulation of a ski turn"と題して、イギリスでの国際学会"The 2nd International Conference on The Engineering of Sport(July 15,1998)"にて発表した。4)前年度までに開発したスキー滑走のシミュレーション法に改良を加え、スキーヤーに作用する遠心力の影響を考慮できるスキー滑走のシミュレーション法を開発した(「スキーターンに及ぼす遠心力の影響」と題して、日本機械学会主催「D&D CONFERENCE '99(平成11年3月16日)」にて発表)。
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