研究概要 |
ホームロボットなど,将来,人間の生活環境で稼動する超多自由度ロボットの一例として,多数のアクチュエータと多対偶素節を連結して網構造を構成し,その構造を変化させてロボット全体の形状を環境に対して適応的に変化できる「網構造ロボット」を提案し,その設計法と運動制御法を考案して,ロボットの性能を評価することを目的とする.本年度は,平面網構造ロボットのモジュールの解析とそれに基づく運動制御,ならびに空間網構造ロボットの総合と変位解析を主眼とした研究を行った.得られた主な成果は以下のとおりである. (1) 平面網構造ロボットのモジュールの運動 解析昨年度までに総合した,直動アクチュエータと多対偶素節を回転対偶で接続して構成される網構造モジュールを順次接続した平面網構造ロボットについて,各モジュールの順運動学解析と逆運動学解析を行い,アクチュエータ運動の干渉を考慮しつつモジュールの運動順序に従ってロボット全体の運動決定を行うアルゴリズムを示した. (2) 平面網構造ロボットの冗長性運動制御実験 試作した平面網構造ロボットの直動アクチュエータの位置制御系を改良して,機構の全アクチュエータの同時高速駆動を実現した.そして,前項のモジュールに基づくロボット全体の運動制御を行い,アクチュエータの運動干渉が避けつつ,ロボット全体の外形輪郭形状を3本の直線に倣わせる運動制御に成功した. (3) 冗長閉ループ空間マニピュレータの総合と変位解析 空間網構造ロボットの基礎的な構成例として,冗長自由度を有する空間閉ループマニピュレータを提案し,その数の総合手法を明らかにするとともに,その総合例である8自由度マニピュレータの変位解析を試み,運動制御の可能性について考察した. 以上,前年度の結果と併せ,提案した網構造ロボットの有用性を示した.
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