研究概要 |
ダイレクトドライブ(以下,DD)モータは減速機をもたないため,DDモータによって構成されたDDロボットは高精度という大きな特長をもっている。しかしながら,DDモータはモータ自体の質量がきわめて大きいため,手首までDDモータを用いて6自由度のDDロボットを作ろうとすると,アーム部には大きな出力トルクをもつDDモータが必要になり,DDロボットの形状と質量はきわめて大きくなる。このため,3自由度の手首をDDモータで作り,これをDDロボット本体(アーム)と切り離し,並進運動を行うロボット本体(すなわち,並進部)と回転運動を行う3自由度可動作業台(すなわち,回転部)とに分割した並進回転分離形DDロボットを藤堂らが考案した。これを使いやすいものとするため本研究を行い,下記の成果を得た。 1.ばり取りや研磨などを行う対象物体の例として円筒を取り上げ,円筒を回転部に固定し,この円筒の表面上に描かれた境界線に沿って並進部側の手先効果器が追従しながら一定の力を加える作業を行った。すなわち,並進部側のアームに取り付けられた高速CCDカメラによって対象物体の視覚情報を取り込み画像処理することによって,ロボットの制御系の目標軌道を生成した。これまで並進回転分離形ロボットでは,目標軌道の生成は非常に手間のかかる作業であったが,視覚情報を活用する本手法によって,目標値を容易にオンラインで自動生成できるようになった。 2.並進部と回転部の基礎取り付け位置の間の距離を可変にすることによって,冗長7自由度DDロボットを構成した。ニューラルネットワークを用いることによって,このロボットの並進部と回転部との協調作業が最適な姿勢で行われることを実証した。
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