研究概要 |
本研究は,跳躍歩行機械に振動系を構成させ,自励オンオフ駆動制御が外乱の影響を吸収する点に着目して,安定な定常運動を持続しやすくするとともに,位置測定腕の無い小さな跳躍歩行機械を開発することにある.位置測定腕を無くすために相対変位のみを測定する.自励オンオフ駆動ならば,着地の瞬間には相対変位が本体の絶対変位になるので,この瞬間の本体の変位と速度値を次の着地までの基準に取って,その値に以後の飛行中の相対変位・速度を加味して絶対変位を推定した.従って着地の瞬間の相対変位が位置測定腕に相当し,以後次の着地まではそれを基準に運動を推定したが,着地の度にこの基準を更新するので,誤差が累積することはなく,着地速度が高くなれば,それに比例して跳び上がり速度も高く推定されるので,実際の跳び上がり速度が高まる状態に追従でき,一定と考えるリジッドな推定に比べて推定誤差を飛躍的に抑え,位置測定腕を引き摺るモデルの場合と遜色ない運動が得られた.アクチュエータにリニア・ソレノイドを用いた第1段階実験機は,変位センサとして歪ゲージを用いて板ばねに貼った.姿勢制御のために走行方向に本体を傾斜させる方式をとる.本体の上部から放射状に取付けた4本の円弧状板ばねの補助足の内,走行方向と逆側の補助足をマグネットで本体側に引き付けて本体を持ち上げて傾ける.このタイプをクモ型と名付けた.基礎実験では,ロボット本体と脚部の定常運動の振幅を2連式読み取り顕微鏡で測定し,繰り返し跳躍は理論解析とかなり良く一致してパワフルな跳躍を実現できたが,単一跳躍は運動の現れる理論解が見当たらず,理論解析に対応する運動が得られなかったが,実際には単一の跳躍が可能である.最初は,補助足を本体の下側に取付け,本体が補助足の上に乗った形態を製作し,これをタコ型と名付けた.重心が高くなるので姿勢制御が困難なこと,およびマグネットトを取付ける部材が本体の下側に必要となることから,この型については現時点ではこの段階に留めた.
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