研究概要 |
近年開発された高分子液晶は,電場によってニュートン流体としての粘性が制御可能であり,その特性は線形性が良く精密な制御に適する.本研究では,ロボット,ステッパーや工作機械など駆動系に弾性を有するメカトロニクス機器およびダイレクトドライブシステム(DDシステム)の高速・高精度化を目的として,高分子液晶を用いた新しい機械システム及びその制御系の開発について検討を行った. 平成9年度の研究成果は以下の通りである. (1)0.5mmの電極間隔を持つERダンパをサーボシステムに付加し,予備実験を行った.その結果,駆動系に弾性を有するサーボシステムの振動的な挙動が抑えられ,良好な応答が得られた. (2)0.5mmの電極間隔を持つERダンパは,十分なせん断速度が得られないためダンパが大きなものとなった.さらに,精密な位置決めにも限界が見られた.上記の問題を解決するため,電極間隔が100μm以下のダンパの開発を行っている.このダンパは,駆動システムの一部として組み込めるよう小型化されたものであり,より高速・高精度な位置決めが達成できるように設計されている. (3)小型のダイレクトドライブモータとギャップセンサを用いて,微少な電極間距離におけるERダンパの効果を測定する装置を開発した.この装置では,過渡特性が計測可能であり,また種々の電極性状に対応できる.この装置は,本研究におけるERダンパの開発,電極形状の設計,制御系の設計に重要であるとともに,エレクトロレオロジー効果の工学的応用にとっても重要な役割を果たすと考えられる.
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