研究概要 |
本研究の目的は、材料内原子間結合状態を提示するためのフォースディスプレイ装置を開発するための基礎技術を確立することである。平成9年度は、高速で微小力発生可能な6自由度フォースディスプレイ機構の設計と試作を行った.まず,パラレルワイヤ駆動により駆動部の低慣性化をはかり,高速,精密力制御の可能なフォースディスプレイの基本設計を行った。つぎに,運動学解析に基づいて詳細設計を行って,製作した.その仕様は次のようである.6自由度機構を構成するために,7個のDCサーボモータと7本のワイヤを使用した.良好な運動特性と力提示特性を得るために,各モータ軸には減速機を使用せずに直接プ-リを取り付けた.各プ-リにワイヤがスパイラル状に巻き付けられ,これらのワイヤにより直径60mm,質量50gの球状の物体(原子球)が高速運動するシステムになっている.操作者は,この原子球を掴んで原子間結合力や,原子運動を体感する.原子球の可動範囲は,運動学に基づく解析の結果,一辺の長さが450mmの立方体となった.原子球の定常状態の速度は15m/s,発生力は6Nである.原子球に操作者の手が触れたことを検出するために,タッチセンサを原子球に内蔵させた. 平成10年度は,開発したフォースディスプレイ装置を用いて,原子球の高速運動による原子形状の提示法,計算時間遅れを有するフォースディスプレイ装置の制御法,操作者による作用力のセンシング法などを研究することが課題である.
|