| 研究概要 |
本研究の目的は、材料内原子間結合状態を提示するためのフォースディスプレイ装置を試作し,その基礎技術を確立することである。平成9年度には、パラレルワイヤ駆動方式による6自由度フォースディスプレイ機構の設計と試作を行った.本年度は,昨年度作成したパラレルワイヤ機構の制御系ハードウェア・ソフトウェアの製作を行うとともに,原子間結合力の提示法に関する研究を行った.その結果,パラレルワイヤ駆動方式を用いて駆動部の低慣性化を計ることにより,原子球の高速運動が可能であることが分かった.しかしその反面,位置制御精度については,各目標位置における平衡ワイヤ張力の制御誤差への影響や,各ワイヤ長さのキャリブレーション誤差などの影響により,高精度な位置制御が困難であることも分かった.一方,原子間結合状態の提示アルゴリズムの研究においては,原子世界と人間世界のスケーリングファクタの決定方法を提案し,アルゴン等の希ガス元素の原子間結合力を操作者に提示する実験を行った.具体的には,原子間相互作用としては経験的2体間ポテンシャルを用い,分子動力学法により各原子の振る舞いを計算する方法を用いた.まず,操作者による原子の操作力を計測して,原子世界の力に変換する.つづいて,分子動力学法により原子の進めべき位置を計算し,その位置を原子球の目標位置としてフィードバック制御を行うという方法である.このような制御アルゴリズムで原子間ポテンシャルの形状や原子質量の違いなどを操作者が感じることができることが分かった.
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