研究概要 |
近年,原子力発電所内や宇宙空間,海底等の極限環境下での作業が要求されているが,このような極限環境において多様な作業を実施するためには,ロボットの遠隔操作技術が欠かすことのできない技術である.ロボットの遠隔操作の手法としては様々な方法があるが,特に,マスタ・スレーブマニピュレータによる遠隔作業は,オペレータが直接作業を行うときの作業形態に最も近く,その直感性の良さから現在多くのテレオペレーションシステムで適用されている.一般にマスタ・スレーブシステムのマスタとスレーブ間の信号の授受は,サンプリング時間毎の時系列データで行われているが,作業現場が超遠距離の場合や,通信回線にインターネット等のコンピュータネットワークを用いてマスタとスレーブの間でバイラテラル制御を行う場合には,通信容量の制約や不規則な通信時間遅れが発生し,システムが不安定になり操作性が低下する. そこで,本研究では,上記のような問題を有するテレオペレーションシステムにおいて,情報を時系列で伝送するのではなく,人間間のコミュニケーションに見られるような意向情報を伝送することについて検討を行う.人間のコミュニケーションのうち約65%は非言語的、すなわち身振り・手振りや表情によってなされており,また,人間によるとっさの判断は理論や言語では尽くせないとされている.もし,人間の意志が抽出することができ,何らかの手法で記述することができれば,遠隔操作の操作性は向上すると考えられる.本研究の第一段階として,オペレータの腕の動きに含まれる意向情報を抽出し,その意向情報をスレーブロボットに伝送して操作を行う方法についての解析と実験を行った.
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