『3Kの職場』という言葉が生まれて久しいが、いわゆるきつい、汚い、危険が伴う環境下での作業はロボットに置き換わりつつある。このような場合には、当然遠隔操作技術を用いて作業を行うことが要求される。 本研究では、マスタースレーブロボットと呼ばれる遠隔操作型のロボットを用いてオペレータの一挙一動のデータを忠実にスレーブ側に伝送し、これを再現することを目指している。すなわち、オペレータの意図を上手に抽出することができ、受信したスレーブ側がその意図に基づく動作を実行できれば遠隔操作ができたことになる。オペレータの操作の時系列データを処理し、ニューラルネットワークや知識データーベースを利用し、意図として抽出しスレーブ側で再現する。 本年度は、現有の双腕マニピュレータ(各腕7自由度)をスレーブマニピュレータとして、力表示機能があるマスターアームと組み合わせて実験を行い、以下の成果が得られた。 1. スレーブ側でオペレータの意図を再現するために必要となる環境情報の収集ルーチンおよび動作ルーチンを作った。 2. スレーブ側の環境がマスター側の仮想環境と異なった場合、あるいはスレーブ側の環境情報を十分に得られなかった場合に対する処理方法を検討した。 3. 一般の操作が不都合なく行えるよう、オペレータの意図として考慮すべきもの(動作キーワード)を検討した。これらのことから、人間のコミニュケーションに見られるような身振り・手振りによる意向情報をスレーブロボットに伝送して操作を行うことにより、テレオペレーションシステムにおける操作性の向上が図られた。今後は、システムがより安定して動作するための実験と遠隔操作手法としての体系化を試みる。
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