本年度は、昨年度に引き続き、太陽光発電や燃料電池を中心とした分散型電源を配電系統に設備した場合の効果のうち、 (1) 系統事故時の供給信頼性向上効果の停電損失(コスト)を用いた定量的評価手法 (2) 架空配電線の分布負荷を仮定した場合の配電損失軽減効果の定量的評価手法 に関する以下の研究を実施した。 (1) 昨年度開発した分散型電源の運用評価手法を分散型電源の配置計画の評価にも適用できるように手法を拡張した。すなわち、系統事故時に分散型電源の単独運転を許すという仮定の下で、分散型電源が最適に運用された場合の総期待停電損失と総設備コストの和が最小となるような分散型電源の配置と定格出力を決定する問題を組合せ最適化問題として定式化し、タブー探索に基づいて解く手法を開発した。開発した手法では、総期待停電損失が最小となる負荷の遮断・復旧タイミングの決定を含む設備の最適運用を昨年度に開発した手法で評価しながら、分散型電源の配置とその定格出力をタブー探索で決定している。モデル系統で複数の事故ケースを仮定して数値計算を行って、結果をシミュレーテッドアニーリング法と比較し、提案手法の妥当性を検証した。なお、これらの研究成果は、研究発表欄に示すように、国内外の学会で発表している。 (2) 昨年度開発した配電損失を最小とする分散型電源の最適配置手法では日間の負荷変動を考慮できていなかった。本年度は、時間帯別の負荷変動を考慮に入れた分散型電源の最適設置箇所並びに容量を決定できるよう手法を拡張した。幾つかのモデル系統で数値計算を行い、手法の妥当性を検証した。これらの研究成果は、研究発表欄に示すように、国内外の学会で発表している。
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